テレビ静岡「静岡フードミュージアム構想」続編

テレビ静岡の「てっぺん静岡」番組内で「静岡フードミュージアム構想」なるコーナーの続編があった。

「マルコ・デュ・パン」という店の職人さんたちが、静岡食材を使ったご当地パンの商品開発に挑む。

先日もここで書いたけれど、わたしは、京都でパン教室をされている内村浩一さんと、パンの愛好家の片山智香子さんと、審査員として出演させていただいた。

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ご当地パンとして選ばれたのは井上聖士さんの「ニューサマーオレンジブリオッシュリング」と吉村祐美子さんの「静岡産やぶきた茶の富士山カンパーニュ」。ふたりとも、技の光る職人さんだ。

商品である限り、売れなければ始まらない。選ばれたふたつは、お客さんの反応を見るということで前宣伝なく店頭に並んだ。予測通り、カンパーニュが、慣れない見た目と買いにくい価格で苦戦していた。でもそのあと、機転をきかせた店長の指示で、ブリオッシュはプチサイズで、カンパーニュはカットすることで、より多くのお客さんに買ってもらうことに成功した。

言い訳だけれど、わたしはテレビで話すのが得意ではない。瞬発的に的を得たことを言って伝える難しさをいつも思う。で、今回も終わって、おそらくカメラが回っていないときに、カットしたりプチサイズで販売してはどうかという提案をしていたのだけれども。

7月1日に放送された番組で、ほぼ完売したときに店長が「清水さんでしたっけ。パンはシェアするものだからって。それをヒントにしたんです」と言ってにっこりとしてくださったのをみて、胸が一杯になった。

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片山さんには前回、「こんなに熱くなる清水さん、初めてみました」と言われた。

それは、吉村さんのカンパーニュがおいしかったので、「マルコ・デュ・パン」は石窯パンのお店なのだし、こういうパンをもっとつくって、静岡のひとに食べてもらわなくちゃ!と、そんな気持ちになったからだった。

井上さんのニューサマーオレンジのパンは見た目もはなやかで、きっと誰もが好きな味。でも吉村さんのパンは、見た目では想像がつかないかもしれない。購入は冒険になってしまうのだろう。こういうとき、ことばが必要になってくる。

Bread Journalの読者に説明するなら、こんな感じのパンだ。

北海道産の小麦粉に富士山の天然水で水出しした静岡のやぶきた茶で仕込んだ高加水のカンパーニュ。中には、ほのかに甘く、ほろ苦い特製の茶葉ペーストが練り込まれ、お茶の存在感を出している。

ニューサマーオレンジは季節があるので、自家製のピールが切れてしまったら終わりで、通年は難しい。それもいいと思う。来年はニューサマーオレンジをいっぱい仕込めるといいな、と思う。そしてカンパーニュはゆっくり定番化、するといいなぁ。

それにしても、テレビのひとも、パン屋さんも、静岡への地元愛が感じられる番組だった。ほのぼのと、みんなを幸せにする感じの。

なんでも早く安く簡単にの時代にあって、数か月かけてひとつのパンを生み出そうとする職人さんの、そして、そのパン屋さんに通い詰めてこんな番組をつくる制作会社のひとたちの、丁寧な仕事を想った。

このひと月ばかり、貴重な体験をさせてもらいました。