ナショナルデパート、五感で感じるパンとなにかいいもの

ナショナルデパートの秀島さんを取材。
やはり、抜群のセンス。

彼はブーランジェでデザイナーで絵本作家、
さらに肩書きは増えるかもしれない、と
わたしはひそかに思っている。

 

店頭に立つお母さまが手際よくパンをカットし、
店を訪れた人に試食をすすめている。
笑顔がとびきり美しい奥さまとスタッフがひとり
きびきびと動いている工房には
気持ちのいい空気が流れている。

 

七輪で焼くドイツパンをごちそうになる。
こんがり焼けたパンにバターをのせて
そのままでひとくち、それからレモンを絞って味わう。
ブリーをつけて、アンチョビソースをふったり
葉野菜をのせたりして、次々に組合せを発見するように
おいしく食べる。

パンの酵母を採取する後楽園近くの緑地へ案内してもらう。
まさにフィールドワーク。

 

なんだか遊んでいるようだけれど
こうばしく焼けたパンの食感や味、炭の温度、日差し、
生命力に溢れる緑や、湿った土、枯れた葉の香りなどを
記憶に留めながら、取材を続けた。

 

すっかり日に焼けて、気分は、遊びつかれた夏休み。
きっと行ったことのないところに行ったからだろう。
帰る前にいただいためずらしい、つめたいビールは
微かにハチミツのような味がした。