おいしい、あるいはまずい、パンの評価。
パンの評価は、難しい。
わたしは作り手ではなく食べ手の立場から
感覚的な物言いをしてしまいがちだ。
カプラン教授はパンを評価する基準を作った人。
彼のフランスパンの評価基準は、興味深い。
1 外観
2 皮
3 身
4 歯ごたえ
5 匂いと香り
6 味と風味
7 調和
8 パンの想像力
パンの想像力。この最後の項目は、
人がパンを評価する話を聞くときに、
いつもわたしが一番面白く感じているところ。
パンの想像力のことを、カプラン教授は
「食べる人がそれぞれ自由に想像力を働かせながら、
パンを評価するための、一種の治外法権と言えるもの
である」と書いている。
そこには店のサーヴィスに対する評価も含まれるし、「われわれが
判断を下す際には、しばしばわれわれの知らぬ間に、記憶がこっそり
入り込んで、とりわけ食べものについてあらゆる選択を条件づけるものだが、
そのような記憶もここでは堂々と働いてかまわない」ということだ。
五感のほかに働いてしまう、記憶というものの存在は
食べもの(パン)を味わい、評価するときに
取り除けないものかもしれない。
それは、評価する人そのものをも映し出す、興味深い要素だと思う。