ベベのフランスパン
バゲットでなく、あえて「フランスパン」と名づけたという
アンジェリックベベのそのパンを、久しぶりに食べた。
わたしはこのパンがすごく好きだった。
だった、というのはずっとご無沙汰していたので。
今日、やはり好きだと思った。
ドレスアップもダウンもできる、何とでもあわせられる、
白いTシャツのようなパン。
日本の多くのパン職人が使う、ごくスタンダードな
フランスパン用の小麦粉を2種類と、水、酵母、塩、
そして時間をたっぷり。
同じつくりかたで、同じようにして焼いても
職人によって違うものができるフランスパンは
だから、職人の腕の見せどころ、基本となる。
手間がかかっているのですね、というと
ただ置いておくだけですよ、という戸島さん。
いつも、その仕事や言葉に無理がない。
でも、数年前と今とでは少し製法を変えているという。
わたしにとっては、同じように感じる好きな味でも
数年前と違っているのだ。
それはたぶん、わたし自身が数年前と違っているように。
不易流行、なんて言葉は出さなかったけれど
しばらく、戸島さんとそんな話をしていた。
時代に応じて変化していくことが
時代を超越して不変なるものとなっていく。