おいしいパンBOOK 食べる楽しみ、作る喜び

3月14日にAERA MOOK『おいしいパンBOOK』が発売になりました。

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この本は、おいしいパンを、さまざまな角度から切って"Enjoy!"と

差し出すことにポイントをおいて構成されていると思います。

買ってそのまま食べるだけでない、パン本来の楽しみを感じたい人に

ぜひ、と思っています。

などと書くのは、この本で「パンの楽しみ」についての

取材と執筆を担当させていただいたからです。

既によく知られたパン屋さんの貴重な時間を拝借し、いったい何を

教わったかと言えば、彼らのBread+something good(パンと何かいいもの)

でありました。

それはこの冬の間、わたしの、灯火のような仕事となってくれました。

パン屋さんを始め、編集の方々、写真家、デザイナー、料理家の方々など

この仕事に関わったすべての方に御礼申し上げます。

震災のさなかに発売日を迎えることとなってしまいましたが、

この本を手にとられた方が、少しでもあかるい気持ちになれますように、

編集部の人たちと共に切に願っています。

シニフィアンシニフィエの志賀さんに作ってもらった料理は、どれもワインに合うもの。

ツオップのリエさんの料理は、伊原家の食卓そのもの。人気のパン屋さんの普段の

食卓を垣間見るのは楽しい。ブレッド&サーカスは野菜たっぷり、国際色豊か。

このお店の世界地図も見ていただきたいなぁ……と思います。

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おいしいパンBOOK

*

これは、編集の方から聞いた話ですが、この本でスタイリングを担当した

料理家の一人が被災し、避難生活を余儀なくされたそうです。

電気が復旧した時、彼女がしたことは、この仕事で手元にあった小麦粉などの

材料で、パンを焼くことでした。閉店中のパン屋さんに代わり、町の人に配って

元気づけているのです。

小さいけれど確かな幸せ。パンは人を元気にしますね。

何度か書いているけれど、思い出したので、また、書き写します。

MOOKとは関係ないけれど、今の気持ちに大きく関係あります。

「何か召し上がらなくちゃいけませんよ」

とパン屋は言った。

「よかったら、あたしが焼いた温かい

ロールパンを食べて下さい。ちゃんと食べて、

頑張って生きていかなきゃならんのだから。

こんなときには、物を食べることです。

それはささやかなことですが、助けになります」

『ささやかだけれど、役にたつこと』

レイモンド・カーヴァー/村上春樹