給食はいつの間にか、米飯の時代になっていた

昨日の辻調塾は「ニッポンの給食を考える」。『めざせ! 給食甲子園』(講談社)著者の神山典士さん、文京区青柳小学校の栄養士、松丸奨さんのお話を伺いました。

神山さん曰く、初めて会った人とも給食の話になると誰でも何か言いたいことを持っていて、会話が弾むということでしたが、確かに。ほぼ100%パンの中、まれに麺やご飯が登場するという時代に給食を経験したわたしは、酢豚だろうがなんだろうが、どんなおかずでもトーストしていないパンとマーガリンと牛乳を組み合わせるという妙な組み合わせが、トラウマとなったように思うのですが、いつのまにか、給食は米飯中心なのですね。

先日も仕事先で、パンの納入業者撤退によりパン食ゼロの給食になった小学校の話を聞いたばかりでした。それによってパン好きが減るのでは、いや増えるのでは、とその場にいたひとが皆でいろいろ意見したことが記憶に新しいのですが。

給食において油脂や塩や砂糖や添加物を使わず手間もかからない米飯は、どんなおかずにも合わせやすく、栄養のバランスをとりやすく、コストを抑えられる。素敵だ。と、Bread Journalで米を称えてしまうのですが、給食において「パンと何かいいもの」を上手くコーディネイトすることは難しいかもしれないと実感します。

それにしても、青柳小学校の給食に携わる松丸さんの、心底幸せそうに仕事をされている様子、始発で学校に行き、業者と食材の話を情報交換したり、価格交渉したり、ラーメン屋さんや料理屋さんの裏口を覗いて出汁の研究をされるところ、のらぼう菜などの江戸東京野菜を使う食育、すごいことだと思いました。

「料理が上手な栄養士、ということだけではなくて、究極のビジネスマンだ」と辻調理師専門学校校長、辻芳樹さんが感想を述べられていたことに共感しました。

松丸さんの幸せが内側から発光しているような様子に心を打たれただけでなく、そうした人にスポットを当てる神山さんのお仕事も素晴らしい。

ちなみに青柳小学校でパンは週に一度で、スチームコンべクションオーブンで温めたり、アーモンドのビスキュイをトッピングしてリベイクしたり(これはこどもたちが大好きなのだそう)ひと手間かけて出すそうです。

いつもながら内容の面白さ以上に、そこに携わる人々の仕事に感動しました。機会を作ってくださった辻調の皆さま、お会いできた皆さま、ありがとうございました。

勉強会後の立食パーティは代官山蜜香、村木さんの給食をテーマにしたケータリング。鯨の竜田揚げを模した牛肉の竜田揚げ、牛乳を模したごまプリン(ほのかにショウガ風味)などなど。想像をちょっと裏切る味が料理人の遊び心、いつものようにセンスがあっておいしい料理でした。パンではなくワカメご飯のおむすびだったのが、きょうの気分にぴったりでした!

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