微笑をもって

子供の頃、家のコンベクションオーブンで、 母がよく、おいしいパンを焼いてくれました。 それが今、わたしがここでパンのことを書いている そもそものきっかけだったかもしれません。 わたしの一番の後援者でもあった最愛の母が 先週木曜の夜、静かに息をひ…

レモナジ。

「冬に暖かい部屋で食べる、つめたいアイスクリームの どこか贅沢なおいしさに似て、夏に涼しいところで食べる 熱い料理も、なかなかいいものです」 と、携帯サイト「パンなび」のコラム『今週のBread+』 の原稿を(PCで)書きながら、熱いレモナジをひとく…

散歩とドーナツ

週末は長い散歩に出かけていました。 途中、ドーナツ屋さんでひと休み。 「はらドーナッツ」は、お豆腐屋さんの豆乳やオカラを 使っているそうだけれど、それらが自己主張しておらず、 どこかやさしい、お母さんのドーナツの味がするところが いいのです。 …

イチゴとバナナのパンケーキ

流行のカフェのパンケーキよりも 遠い日の旅先のパンケーキよりも きちんとセッティングされたホテルの ルームサーヴィスのパンケーキよりも もしかしたら家で、それらを想いながら つくるパンケーキが一番好きかもしれない。 パンケーキやフレンチトースト…

なんでもない日、バンザイ♪

昨日、食材の買い物をして帰ってくると 夫がパイを焼いていた。 冷蔵庫にあった小松菜、カボチャ、そら豆などを ぎっしり詰めたパイ……というかキッシュ。 なんでもない日に、思いがけず。 なんでもない日、バンザイ♪ なぜかディズニーの「不思議の国のアリス…

おいしいね、おいしいね

実家に帰るとき、皆の喜ぶお弁当を買っていった。 お弁当のおいしさの理由で書いたもの。 夜は、久しぶりに母とキッチンに立った。 慣れない鍋と、いつもの三倍量の料理。 どんなに大変なときでも、母は昆布と鰹で出汁をとって 味噌汁やおひたしをつくる。こ…

雨音を聴きながらランチ

雨の中、お茶の先生と社中とで食事に出かけ、 その後、旧白洲邸 武相荘へ。 雨女なので、遠足や遠出の記憶にはいつも、雨の匂いがつきまとう。 海や山への遠足が、どこかの見学に変更されることもあった。 実家に近いこともあって、きょうは特に昔の、子供の…

7年目の終わりに

2003年4月からAll Aboutで、2008年8月からは ニフティのココセレブに場所を移して綴っている このジャーナルも明日で満7年、8年目に入ります。 パンと直接関係ない話ですが、節目に思うことを 書きたいと思います。 ウェブで書き始めてからカウントするなら …

目黒川お花見散歩

家の近くの桜はまだ固い蕾のまま 開花の時機をじっと待つ様子なのだけれど、 目黒川の桜はもう五分咲きなのを ニュースで知り、散歩に出かけました。 空気はつめたくても、そこには春爛漫がありました。 あちこち屋台が出ていて、威勢よく呼び込みする人、 …

豆頬髭犬の大好物

石臼挽き全粒粉とトウモロコシ粉のクッキーは 砂糖や塩が入っていないので、豆頬髭犬たちの おやつにもいい。 Grace 犬のためにつくられたものではなさそうだけれど このボーン型は、犬と暮らす誰もを微笑ませるかたち。 Gem under the table パン屋さんの素…

酵母とこだわり

「天然酵母というものについて、考えているんです」 とそのパン屋さんは言った。 「天然酵母パンないの……?こだわりがないのね と言うお客さまがいたので」 天然でない酵母などないのだから、イーストも天然酵母です と言えば……?と、教師の模範解答のように…

これもまた、ヒーリングフード

今年の金柑は、半分は既に小鳥が食べてしまって 残っているのは小さいのだけなので、選んで使ってください と母が手紙に書いていた。 すぐに蜜煮にして母の分と妹の分、瓶詰めにして送り返すと、 忙しいのにありがとう、 あの金柑がイギリスのマーマレードに…

圏外へ

500ページ余りもある不思議な小説、 吉田篤弘『圏外へ』を読む。 携帯電話のことを「圏外探知器」と呼び、「圏外」は 「世間にも世俗にも世界にも追われることなく、しかし、 それでいながら、しっかりこの世の地図の上に現実に 立っている。この言い得て妙…

素を味わった夜と食道楽の夢

おいしいもの好きの友人が天ぷらを食べに行くというので 仲間にいれてもらった。カウンターに並んで次々に出てくる 海老、そら豆、慈姑(くわい)、ふきのとう、鱚(きす)、 白子、菜の花、穴子、蓮根、白魚、アスパラガス、牡蠣などは 薄衣を纏ってサクっ…

新しい世界

ふとしたきっかけで、携帯電話を新しくしました。 まるでカメラ。機能がよく、ブログにすぐ使えそうで便利、 Bread JournalもToday's Favoriteもこれからはサクサク 更新できる、と思ったのですが、その他の機能を含め、 まだ1割くらいしか理解できていない…

DORAYAKIと絵

友人がお土産に持ってきたどら焼きは 紙に包まれて紐で結ばれていた。 紙に包み、紐で結ぶ包装は昔からあるけれど どこか新しい、DORAYAKI……。 こういうお菓子は時代の感覚を取り入れながら 親しまれ続けるのだろう。 画商の友人が、祖父の絵を預かって みて…

和菓子屋さんで、ショウガの香り

近所の和菓子屋さんの、豆大福と栗羽二重が好きなので 元旦から実家に持っていくなど、今年も続けて通った。 両方とも餅の部分が薄くて、中味が多く、すっきりと 薄墨色で、甘くないところが雅やかで品がある。 これが、和菓子屋さんでなく、餅屋さんであっ…

浅草詣

浅草寺へ、初詣。 友人夫妻と一緒だったので、いつもと違う場所をそぞろ歩く。 ちょっと観光コース。今日もきもので、お正月らしい一日になった。 母や姑や祖母や伯母など、家の女たちと、20代の自分のきものを メンテナンスしながら、今年も大切に着こなし…

新年

あけましておめでとうございます。 今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。 * 年末からの恒例行事はいくつもある。 毎年、近くの神社で新しい年を迎える。 深夜に初詣して、お神酒や甘酒をいただき、福引をする。 福引では毎年、近所の農作物が景品になる…

ブレッド&サーカス、大きな器

味、香り、食感、姿かたち、音……五感で受けとるほかに まだ何か、感じるものがある。 抽象的な表現になるのだけれど、 大きくて「大丈夫」な感じ。たっぷりとゆたかな感じ。 大きな器にたっぷり入っていて、尽きることのない、 おいしくて楽しい記憶。そこか…

浅草で、粟ぜんざい

夫が草履を買うというので、百貨店につきあい、 老舗の高級品と安価な”もどき”ものの極端に戸惑い、 それじゃ浅草、と「丁度良いもの」を探しに足を伸ばした。 パン同様に、素材と職人技と手間のかけかたに、 価格は反映するようだ。 高いも安いも、それとわ…

忘年ホームパーティ

フランスやドイツの伝統、という前に日本の伝統だ と思った日から、きものを着る頻度も増えた。 今年は日常的にきものを着た年だった。 先日、文化学園服飾博物館で開催されている「三井家のきものと下絵 ~円山派がもたらしたデザインの世界」を観にいった…

We Japanese

義父に同行して、定期的に参加している 牛場リスクマネジメントサロンのセミナーで 横浜グランドインターコンチネンタルホテルへ。 リスクマネジメントの世界大会で出会う人々に このごろの日本人は自国に関する知識よりも欧米に 関する知識のほうが豊富なの…

赤い靴

少し前に、仕事でTOYOTAのiQに試乗しました。 TOYOTAは何台か乗っていますが、こんなコンパクトな車は初めて。 たとえて言うなら靴みたいで、おもしろかった。 試乗したのはキュートな赤い靴でした。 iQ×PERSON'S REVIEW テーマはいつもsomething good

ジュリー&ジュリア

12月に封切られる映画『ジュリー&ジュリア』の試写会に行ってきました。 「食べることが好き、そこからすべてが始まった」なんて、わたしたちに ぴったりだねぇ……と、誘ってくれた友に感謝。 メリル・ストリープの扮する、アメリカ人料理研究家ジュリアは 1…

the garden cafe

昨晩はカフェのオープニングレセプションで 自由が丘へ。 といっても今回は仕事ではなく、学生時代に所属 していたサークルの先輩がお店を開くというので 懐かしい人たちがお祝いに集まったのでした。 卒業してもう20年以上も経っていながら、会えば つい最…

ソロモン流、裏話

今、最も注目される旬の人物や仕事や生活に密着する ドキュメンタリーTV番組、「ソロモン流」(テレビ東京)。 今日の放送はZOPFの伊原靖友さんでした。 職人人生、ZOPFのこと、人気パンのこと、カフェのこと、 新商品開発のこと、講習会のこと、上海のお店…

チーズを運ぶ車

チーズを運ぶ車に描かれた、牛の絵がかわいかった。 先日、仕事で再び愛宕山のフェルミエへ行った。 山の上り口がどこか不安になりながらも、初めて 来た人たちはこの静けさ、緑の深さに 都心のスピリチュアルスポット体験ですねぇ、などと 感心している。ほ…

重みに耐えかねて

昨晩、仕事場の本棚が壊れました。 書類フォルダが重すぎたようです。 たわんで崩れ落ちる寸前の棚板に気づいて、 載っていたものを取り除いてみましたが、 取り除いて撮影してみると、なんともなさそうですが 下(写真では右)から二段目は、使い物にならず…

母のこと

先日、父に続いて今度は母が大きな手術を受けた。 わたしにパンのおいしさと外国語を教えてくれたひと。 ICUで目覚めた母は「生還したわね」と言った。 母は、まわりに心配かけまいと、ちょっと旅にでも 行くようなそぶりで入院したのだ。そういうひと。 だ…

Bonne Maman、収集癖

朝起きたら、戸棚の中がジャムのビンに占拠されていた。 ではなくて。 気がついたら、いつのまにかいっぱいになっていたので、 半分くらいに整理しました。 手に入りやすく、なんとなく捨てられないボンヌママンがトップで、 25個もありました。エターナルな…

夏野菜のマリネにパンを合わせそこなう

来週入院する母と日本民藝館に行く予定を立て、 その後、家でゆっくりしてもらおうと、 朝のうちに夏野菜のマリネを仕込んでおきました。 晴れているけれどすごく蒸し暑い、こんな日には さっと揚げた茄子やオクラや隠元などを、出し汁に 浸しておくと、食欲…

懐かしい下町七夕まつり

浅草においしい天ぷらを食べに行こう、ということになり 買い物にあんみつにと堪能した帰り、合羽橋で七夕まつりに 出くわしました。 ポン菓子、飴細工、紙芝居、江戸操り人形、和太鼓、東八拳…… お祭りは久しぶりで、すべてが楽しく面白く、その通りを 1キ…

アーティストとアルチザン

芸術家と職人。 アーティストとアルチザン。 ものづくりをする人と話していて、 話題がそこに行くことがある。 デザインをする人の仕事場にお邪魔して、お茶などごちそうに なっていたら、「用の美」の話になった。 彼は芸術家であって職人ではないが、過去…

Red Ball Japan 2009

年に一度の割合で開かれるAll Aboutガイドの集まり Red Ballが、銀座のリクルートビルで開催されました。 立ち上げのときから参加しているので、たぶん9回目。 全体の編集長の森川さんが退任されることもあり 9年間を振り返り、いろいろなことを思い出しまし…

わかっていてもらいたいこと

今日、打合せで会ったひとに、 え、そうなんですか。びっくり! と何度か言われた。 先日も、何年もの付き合いになるひとに、 え、そうだったんですか。知らなかった! と言われ、ありがちな誤解を解いた。 こういうことはちっとも面倒ではなくて、 むしろう…

1984、ヒット。

25周年を記念した復刻パッケージが懐かしい ハーゲンダッツ。 1984年、放課後に友達と青山のハーゲンダッツに行った。 一番好きだったのは、スイスアーモンドバニラ。 いつか消えて幻のアイスになってから、ますます懐かしい こちらもまた発売してほしい、と…

FAVORITE WORKS、好きなこと

5時起きで髪を結いあげ、お茶の先生の手伝いに出かけた。 お寺の仄暗いお茶室、障子をあけた向こうの、緑滴る庭。 衣擦れの音、静かな談笑。 好きな仕事、気に入りの作品という意味で FAVORITE WORKSを立ち上げてから いつのまにか、10年以上の時間が経って…

Dance with Dogs, 何もしない贅沢。

ゴールデンウィークは友人夫妻のウィークエンドハウスへ。 我が家の休みは3日からだったのだけれど、 あれもしたいこれもしたいと思いながら 結局何もできそうになかったのを、 姉のように慕う友人に救ってもらった。 いつものことながら。 忙しい頭の中を空…

こどもの日

こどもの日にはまだ数日あるけれど、甥のひなた君の顔を見に、実家へ。 彼は元気にすくすく育っていた。 こどもの笑顔は100%嘘がないところが、ほんとうに素敵だと思う。 笑いたくないけれど笑う、ということはないものね。 母が七五三の時のきものを出して…

無事

父に続いて義父の手術も無事終了。 最近よく母とメールする。 病院や仕事先で、無事の連絡をするのに 携帯のメールはなんて便利なんだろう。 なんて今頃そんなこと、と笑われてしまいそうだけれど 携帯で普通にメールできるようになったのは、本当に 最近の…

日本の桜

桜が満開です。 大きな公園は満員です。 進路変更して、住宅街へ。 誰もいないところで 静かに咲き乱れている 桜に、見惚れました。 日本の桜を異国の地で 同じように咲かせることはできない。 逆も、また。 その国にはその国の風土があって 脈々と続いてき…

A small,good thing

父が大動脈瘤の手術を受けた。 父のことは担当医にゆだねていたので ずっとそばについている母のために 差し入れのお稲荷さんをつくって行った。 (パンじゃなかったけれど) つくりながら、レイモンド・カーヴァーの 『ささやかだけれど、役にたつこと』を …

野の花便り

近所の桜の花がほころび始めていて、 朝晩見上げています。 先日、福井の石窯パン工房 野の花さんから 卯月の「野の花便り」が届きました。 野の花さんは、毎月ほんものの石窯に火を入れて パンを焼いています。 パンは越前和紙にくるまれていました。 あち…

休日の情報整理

ここのところ、たまりにたまった数年分の資料を整理していました。 おもに、パンフレットやメモなど、今はもう古くなってしまった 情報の残骸たち……! 懐かしい、という想いにとらわれないうちに、事務的に、黙々と 作業していきます。 空いた場所には、今を…

楽をしよう

友人から電話があって 丁寧な仕事をするにはどうしたらいいか、 ということについてしばらく話をする。 世の中、楽をしよう、簡単にすませてしまおう という人ばかりなのかなぁ……とため息をつく友人。 別の友人がメールで、戦場で生きることについて 書いて…

オフの愉しみ、春の気配。

昨年から、きものをよく着るようになり、お茶の稽古もあって 週に1、2度は袖を通すでしょうか、どんなに疲れているときでも 絹に触れると心が落ち着くのです。 パンと同じで、わたしはやはり、職人の話を聞くのが大好き。 ただ、いくら好きでもパンとは違っ…

La Reine

打合せで行ったカフェの味が落ちていて どうしてだろうと残念な気持ちで歩いていると 活気のある洋菓子屋さんを発見。 厨房でキビキビ働いている職人さんが見える。 いいお店を見つけて、沈みかけた気持ちも なんとなく浮きあがってくる。 濃厚なチョコレー…

再開したブノワで

日曜の夜、青山のブノワへ出かけました。 昨年、母体となる会社の民事再生法の適用申請による 突然の閉店で、もうあの空間はなくなってしまうのかと 心配をしていました。 料理人は別のところでも腕がふるえるに違いないけれど 19Cの木製の模型のエッフェル…

新年

あけましておめでとうございます。 いつもと変わらない大晦日 日付が変わる頃に外に出て 除夜の鐘に耳をすませながら 近くのお稲荷さんに初詣に行きました。 甘酒で温まりながら見あげると満天の星。 冷え込む夜は星がよく見えます。 いつもと変わらないお正…