ル・プチメックの壁

京都、今出川通のル・プチメックの店内の壁には 店を訪れた人によるさまざまなサインがある。 カトリーヌ・ドヌーヴのサインも。 へぇーそうなんですか。本物? と聞いたのは金曜日の夜のことだった。 教えてくれたNさんは、そりゃ本物でしょう、と言ったも…

Boule Beurre

Boule Beurre Boulangerie。 2006年に八王子の商店街で窓越しにパンを売る小さな小さなパン屋さんから始まって、いまは空いたお隣一軒分ひろくなって、お店の中に入って買えるようになった。 わたしの夫は建築を生業にしていて、とくにパン屋さんなどの小さ…

『ファッションフード、あります。』の楽しみ方

辻調塾にて、『ファッションフード、あります。』の畑中三応子さんのお話を伺った。 1970年頃、量も栄養も満ち足りて、情報の時代となって始まったポップカルチャーとしての「ファッションフード」史。 西洋崇拝系、和洋折衷系、栄養神話・不老長寿系などな…

15世紀のマントヴァのお姫様とパンのお話

23日はパン文化研究者、舟田詠子さんの講演で、上智大学のソフィアンズクラブへ。 先日こちらでもお知らせした、そのテーマは「マントヴァのふたりの姫の運命とふたつのパン」。 マントヴァのGonzaga家の次男、Francescoが枢機卿になるという。 その知らせを…

吉祥寺でローズさん来日記念イベント

週末、吉祥寺で開催されたローズベーカリー創始者のローズ・カッラリーニさん来日&"How to Boil an Egg"出版記念イベントでMCを務めさせていただきました。 続々オープンするお店の人気の秘密、新刊の内容とデモンストレーションなどがおもなトーク内容でし…

sens et sens

カフェに座ってコーヒーを待っていると、静謐という言葉を思い出した。 でもそこにあるのは、はりつめる静けさではなく、のんびりとした静けさ。 近くに座っていたひとが、昼食のあとのコーヒーをのみながら 「静かだね」と言った。しばらくして、「うん、静…

my favorite works

取材をしていると、テーマから微妙にずれていき、 気がつくと彼らの生き方を、世の問題点に対する行動を聞いていたりする。 そのひとの作品よりも、そのひとの人となりに興味があるということを隠せず、 そのまま扉をあけてしまう。 帰り道、手にしているの…

and next 10years

ダンディゾンの後、この10年のこと、これからの10年のこと、 考えながら、公園を歩きました。 ダンディゾンの。それから、自分の。 パン・オ・ルヴァン パン・ド・ロデヴ ベーカーズナイフ持っていかないと、公園でパクッ、と食べることも ままならぬけれど…

ダンディゾンの10周年

吉祥寺のダンディゾンが先日、10周年を迎えました。 (このBread Journalと同い年ではないですか!) 10年前に店がオープンした時、こんなふうに書きました。「ダンディゾンとは、10年後という意味。 10年後にも変わらず訪れてもらえたら。そんな思いがこめ…

百年前の京都で本物のパンを求めた人

老舗の多い京都。進々堂は今年100周年を迎えた。 その記念に作られた、小冊子が今、ここにある。 現社長の続木創さんにいただいたものだ。 百年前の京都で本物のパンを求めた進々堂の創業者、続木斉さんは 大正13年(1924年)、船で2ヵ月かけて、日本人のパン…

新しい靴をおろして、新しいパン屋さんへ行く。

天気予報ではトラックが横転し木が根こそぎ倒れるほどの強風の可能性も と報じていたけれど、夜中に雨音を聴きながらいつのまにか眠ってしまって 起きたら五月のような天気だった。 新しい靴をおろして、新しいパン屋さんへ行く。 数年越しで、ようやく行け…

悲しみのあとで

このパンには思い出の味がある、 港のどこより廃れて混みあった辺りの、 貧しい居酒屋で食べるこのパンには。 ウンベルト・サバ(須賀敦子訳)「悲しみのあとで」の冒頭。 イベントをきっかけに、パンが出てくる詩に出合う機会が多くなった。 おいしくなさそ…

バターのこと

個人的な嗜好として。 朝食はたいていパンを温めて、バターをつけて食べる。 バターはつめたいものが、温かなパンと体温によって、口の中で溶ける瞬間が好きだ。 バターが手に入らなければ、オリーブオイルをつける。 なにもつけないこともある。香りが大切…

マントヴァのふたりの姫の運命とふたつのパン

パンの文化研究者、舟田詠子さんから、講演会のお知らせです。 舟田さんからのメッセージ * めずらしく雪の復活祭を迎えるウィーンから、講演のお知らせをお送り します。テーマは 「マントヴァのふたりの姫の運命とふたつのパン」 マントヴァはイタリアのル…

ファッションフード、あります。

面白い本を読みました。 先日辻調塾でお会いした畑中三応子さんの新刊。 『ファッションフード、あります。』畑中三応子(紀伊国屋書店) 食がファッションとして消費される日本独自の文化現象の年代史。 1970~2010年の流行食がぎゅうぎゅうに詰まった充実…

ティエリさんのフランスパン

千葉県八千代市。薪窯でパンを焼いているフランス人、ティエリさんを訪ねました。 裏庭の薪窯小屋 伝統の練り桶と発酵棚も手作り 手作りの薪窯 山のパン 記事はAll Aboutにて、公開しました。 ティエリさんのフランスパン

レフェクトワールのパンと料理(出版記念パーティ)

先日、『サンドイッチの発想と組み立て 世界の定番サンドイッチとその応用』を出版した友人のナガタユイさんの出版記念パーティを、神宮前のレフェクトワールで開催しました。本についてはぜひこちらを読んでいただければ、と思います。 発起人のひとりとし…

aとbと詩

昨年秋にameen's ovenで開催した「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」の後、打ち上げをした、名前の長い素敵な店、「bin ジャムと珈琲あるいはその他」で、盛り上がった計画がついに、「aとbと詩企画 vol.1 コー…

パン&菓子 トレンドを探る。

『食品工業』という雑誌の特集「パン・菓子のマーケットを探る」で 原稿を書かせていただきました。 「ベーカリー最新トレンドと日本のパン食文化」 (The Latest Trend of Retail Bakeries and Bread Culture in Japan)

ふぞろいのイチゴとバゲット

最近、安くて小粒の「あまおう」を見つけると、よろこんで買っています。 大きさ、かたちはふぞろいでも、カットすると中まで赤くて甘い、 それは確かに「あまおう」だから。 きのう夫がある店でバゲットを買おうとしたら、クープのかたちなどが あまりにも…

3300円のパンが売れる理由

テレビ朝日スーパーJチャンネルに出演。 このデフレの時代に高くても売れるもの、最高級パンの通販専門店ルセットの 3斤3300円の@shokupanが売れるわけを説明しました。 パン業界に一石を投じた、ルセットのオープン当時の事情を知る者として ディレクター…

2013年、立春に思うこと。

Bread Journalを読んでくださっている皆さま、いつもありがとうございます。 Facebookページ、清水美穂子【Bread Journal】はおかげさまでフォロワーというのか、読者数というのか、1600を超しました。感謝しております! 気がつけば、すっかりブログ読者の…

サンドイッチの発想と組み立て 世界の定番サンドイッチとその応用

友人のユイさんがサンドイッチの本を出した。 ユイさんに初めて会ったのは、8年ほど前、東京と大阪で開かれた サンドイッチセミナーで、西川功晃さんのデモンストレーションの前座として 講演をさせていただいた時で、彼女はシェフの手伝いで来ていた。 それ…

ベストパン★2012 結果発表

All Aboutで読者が選ぶベストパン★2012 発表しました。 ベストパン★2012 結果発表

ブレッド&サーカスのその後

All About読者が選ぶ、年に一度の企画、ベストパン。 そもそも読者がどんなパン屋さんを好きなのか知りたいという個人的な興味から始まった企画で、その年に印象に残ったパン屋さんやいつも通うパン屋さん、好きなパン屋さんについて投票してもらうものです…

ナショナルデパートのパンの本

人気のパン屋さんのあのパンを家でも作ってみたい、と思うのは家でパンをつくる 多くの人が思うことで、それはレストランで出合った素敵な一皿に触発されて、 家庭の夕食で、その一皿を再現しようと試みたりする、その行為に似ている。 だから世の中には人気…

Boulangerie Sudoのシュトレン

Boulangerie Sudoのシュトレンが素晴らしかった。須藤さんのシュトレンは独立前のお店の時以来でしたがセンスと技術をあらためて感じました。 シュトレンはたくさん食べるものではないし、わたしは毎年、自分の好きな感じのものがひとつでもあれば大満足なん…

パンと詩のある風景を巡って【3】

2012年10月27日(土)14時~17時、夙川のameen's ovenにて開催されたイベント 「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」 の全記録を、補足の引用とともに公開しています。【1】【2】に続く、最終回です。 ●小山 ひと…

パンと詩のある風景を巡って【2】

2012年10月27日(土)14時~17時、夙川のameen's ovenにて開催されたイベント 「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」 の全記録を、補足の引用とともに公開しています。続編です。 ●MIHOKO ミシマさん、この店って…

パンと詩のある風景を巡って【1】

2012年10月27日(土)14時~17時、夙川のameen's ovenにて開催されたイベント 「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」 の全記録を、補足の引用とともに以下に公開します。 <ameen's oven ミシマ ショウジによる案…

第7回メープルスイーツコンテスト

第7回クインビーガーデンメープルスイーツコンテスト表彰式に出席しました。 今年の応募総数は222作品(菓子部門99、パン部門123)過去最高だったそうです。 菓子部門優勝 厚東宣洋さん(大阪あべの辻製菓専門学校) 「ロートンヌ デラブル メープルの秋」 か…

おいしいパンとパン屋さんの新情報

最近のAll Aboutの更新情報はFacebookページ清水美穂子【Bread Journal】にて お知らせしています。 Facebookページのほうが拡散している手ごたえとリアクションが感じられますし アップロードも簡単なので、日々の更新はFacebookページになっています。 最…

MOFチーズ職人、エティエンヌ・ボワシーさんのセミナー

日本製粉東部技術センターにおいて行われたチーズセミナーに出席しました。 講師はポールボキューズのもとでメートルドテルを務めた後、MOFを取得、エルベ・モンスとリヨンにお店を構えるチーズ職人、エティエンヌ・ボワシーさん。 国内のチーズ消費量は20年…

日々

Bread Journalを楽しみにしてくださっている皆さん、2週間あまりお休みしてしまってごめんなさい。 10月末の、夙川のameen's ovenでのパンと詩のイベント、続く大阪の新しいパン屋さんの取材、パングランプリ東京の表彰式、新宿にオープンしたサラベス、おと…

イタリア料理修業のお話とイタリアンカラーのデリバリー

昨晩は辻調<新>塾にて、大正大学で人間科学の先生をされている澤口恵一さんのお話をお聞きしました。 日本におけるイタリア料理産業史、料理人の人生史、ゲストワーカーとしての日本人の地位、キャリアと独立開業についてなど。 国内での料理産業研究は皆…

ameen's ovenのイベントメニュー

先日からこのブログやBread Journalのfacebookページで告知していましたが、 10月27日にameen's ovenで開催される「ことばの種 ふくらむパン そして something good~パンと詩のある風景を巡って」でトークセッションをします。 当日の食事メニューも決まっ…

秋田のブレないブレッド

金沢の美術館で、そのタイトルに惹かれて手にした 秋田のフリーマガジン『のんびり』。 この、ちょっとシュールな表紙は合成写真ではないそうで、 100年以上の歴史ある花火大会を背景に、休耕田で撮影が行われたそうです。 写っているのは小野小町生誕の地の…

チキンと野菜のサンドイッチ

ここでは久しぶりの日々のパン、の写真。 きょうのランチはローズベーカリーのピタサンドと神戸屋のサンドイッチでした。 どちらもチキンと野菜のサンドイッチ。 ローズベーカリーはゴマのソース、神戸屋はたまり醤油。 野菜をはじめ、具がたっぷりのところ…

石川県のこだわりパングランプリ

石川県のこだわりパングランプリの第一次審査会で金沢へ。 石川県産の食材を使用したご当地パンの数々を審査しました。 珠洲の塩、能登の豚、加賀蓮根、白山の米粉、大野醤油、五郎島金時、 輪島のあおさ、とうがらし、中島菜、金時草、金沢産ゆきちから(小…

『パンづくりの科学』

10月10日は何も考えなくてもよいパンが焼ける日。 5月5日と10月10日は日本では、気温や湿度などがパンの最適環境になる時期なので、 そんなことを言ったりするそうです。 『パンのなぜ?に答えるパンづくりの科学』吉野精一著 (誠文堂新光社) を読みました…

La première pousse

西荻窪に10月13日、パンとワインと料理を楽しめる Bread+something good的に優れたお店がOPENします。 今はなきシュールムジュールの鎌田裕治さんのお店です。 あらためて記事にて詳細ご紹介します。

ことばの種 ふくらむパン そしてsomething good~パンと詩のある風景を巡って

2012年10月27日、夙川のameen's ovenのカフェで、ameen's ovenのミシマショウジさんと、詩人の小山伸二さんと、トークイベントをします。(詳細は文末をご覧ください) わたしとameen's ovenのミシマさんとの出会いには、詩がありました。 これは『おいしい…

HATAKE CAFE

伊勢丹に先日オープンしたばかりのHATAKE CAFEで 野菜たっぷりのサンドイッチの昼食。 久しぶりにおいしいサンドイッチを食べました。 十数種類の野菜のサンドイッチも、 ベジバーガーとエビとアボカドの焼きサンドも パンと+something goodの量がほどよいバ…

パングランプリ東京審査会

パングランプリ東京2012の審査会でした。 今年は山型食パン21種、カレーパン26種、 夕食として食べる国内産小麦のパン21種を審査。 カレーパンがいつになく元気で、元気というのは 職人さんが苦悩していない、楽しんで作っている感が ひしひしと感じられて、…

珈琲時間 「行きつけにしたいベーカリーカフェ」

『珈琲時間』2012年秋号にて、コラムを書かせていただきました。 「続々と誕生するベーカリーカフェ。その理由と旬のパン事情とは?」 よろしければ、ご覧ください。 ほんとうにいろいろな仕事をさせていただいています。 何が自分に向いていて、何をすれば…

Cuisine[s] Michel Troisgrosとパン

先日、ミッシェル・トロワグロさんにインタビューを させていただいたこともあって、(順番が逆になってしまった けれど)、記念日のディナーをCuisine[s] Michel Troisgrosにて。 ここではパンのことを書きましょう。 わたしはおいしいパンと、ワインと、チ…

palaoa

新鎌ケ谷に移転したpalaoaの記事を書きました。 パンを発酵させる、ゆったりとした時間が流れるお店。 取材の日が9月なのに入道雲が広がる真夏のようなお天気だったこと。 ココナツミルクの香りのマラサダドーナツを、その空の下で食べたこと。 職人、池口康…

国産小麦は地域の魅力になれる

キタノカオリ、はるきらり、春よ恋、ゆめちから、きたほなみ。 ある勉強会にて、自給率1%のパン用小麦粉の農場を営む前田茂雄さん (前田農産食品合資会社)に、小麦生産の現状をお伺いしました。 日本の気候や風土と麦の病気や農薬、品種改良、国の政策、 …

パンの文化研究者、舟田詠子さん講演会

パンの文化研究者、舟田詠子さんから、講演会のお知らせです。 舟田さんからのメッセージ * ウィーンはすでに木の葉が色づき寂しい季節がはじまりました。 皆様はお元気で夏バテから回復しつついらっしゃる頃でしょうか。 10月初めに一時帰国する機会に、講…

FAUCHON LA BOULANGERIE 秋冬コレクション

2012年10月、日本上陸40周年を迎えるフォションの日本×フランスのマリアージュ的な新商品がフランス大使館で発表されました。 2008年にパリ本店でエクレアウィークエンドというフェアが始ってから、2日で5000本販売するなど、その美しく斬新なデザインのエク…